「チャレンジ!オープンガバナンス2016」の背景

このコンテストの時代的な背景は三つあります。

背景1: 行政の持っているデータを機械判読な形で二次利用を可能にするオープンデータ化する取組は日本ではまだ始まったばかりです。その利用も施設の地図へのプロットなどデータの見える化アプリ作成が主流です。とても便利ですが、これに加えてもっと地域の課題解決に使っていこうという機運があります。
背景2: 市民がこれまでの会社や家庭だけの生活から少しでも時間を作って自己実現や新たな生きがいを求め、あるいは身の回りの介護などの事情からさらに進んで、課題解決の実際の担い手になっ地域の課題解決の提案をしたりという動きがおきています。
背景3: 行政のデジタル化の進展で行政内部は勿論、市民とのデータの共有や市民との対話が格段に便利になり、これに伴って行政が全て一貫して施策を企画し議会に諮りそして提供する機能から市民による公共的な活動を支援したり市民と協働して公共的な活動をおこなったりすることが以前にも増してしやすくなりました。プラットフォーム化を目指すオープンガバメントの兆しも見えています。

以下、それぞれ簡単に説明します。

背景1:地域の課題解決に使うオープンデータとデータの活用

2013年から日本でも始まっているオープンデータの動きをみてみましょう。政府の音頭とりで少しずつ広まってきましたが、現時点で202自治体(全国の約12%)がオープンデータを導入しています。しかし、この活用となるとまだ不十分です。自治体のなかでデータを保有しているのは、通常は業務を担当している部署ですが、かれらにとってはなぜオープンデータにするのかわかりにくいところがあります。政府もこのことに気付き始めたのだと思いますが、昨年の政府の基本方針でもこれまでの公開面を中心とした対応から「今後はニーズオリエンテッドな「課題解決型 のオープンデータの推進」に発想を転換していくことが重要」としています。
参考資料:新たなオープンデータの展開に向けて 概要 本文
(平成27年6月30日 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部決定)

ただ、ここで付け加えたおきますが、オープンデータ自体は体系的に着実にすすめてほしいと思っています。実態を聞いていますと、もかく出しやすいデータから出す、という傾向がありそうです。担当の部署にしてみれば、新たな業務が増えるわけですし、このような状況になりがちなのはわかります。これを変えていくには、各自治体でゆるぎないデジタル化の方針を立てて、その中でオープンデータも体系的に整備していく取組が欠かせないでしょう。

一方で、課題とデータを抱える担当部署にとっては、オープンデータ化の目的が単にデジタル時代だからというだけではインセンティブが沸きません。やはり、地域の課題を解決するのにこれまでだけのやり方に加えて、オープンデータによって市民とデータを共有し、市民にも地域の課題を考えてもらい、新しい解決のアイデアに市民からの知恵をもらう、場合によっては市民自身で解決を図って行ってもらう、こういう市民と自治体との新しい関係がこれからの課題解決にはより望ましい、という姿勢が欠かせません。

背景2:地域の課題解決の提案者や解決の担い手になる市民

市民も変わる必要があります。市民が多様な生き方を求めていく中で、年齢や性別に関係なく次のように考え行動する市民が少しずつ増えています。
-地域の身近な課題の解決に自分の問題として取り組んでいきたい、
-新旧取り混ぜながら地域のコミュニティをもう一度活き活きとしたものにしたい、
-そんな地域市民になり、その輪が広がって欲しい、
そしてこうした市民を支援したいというNPO、研究者、企業やベンチャーも散見されるようになりました。

背景3:行政もこのような地域市民と同じ立場に立って地域課題を一緒に考え解決策を共に探ろうと、次のような試みも始まっています。
-課題関連データのオープンデータ化を目指す。
-課題解決策の市民アイデアを施策形成のプロセスで歓迎する。
-市民との協働による課題解決策の実施を探っていく。
-市民と行政の率直なコミュニケーションを指向する。